「カリアラー! 仲直りしたから、開けろー!!」 内側からした大声に、カリアラはびくりとして耳を離した。閉ざされたままのドアは音を立てて揺れている。カリアラが近くにいるとも気づかずに、サフィギシルが乱暴なノックを続けているのだ。慌ててかんぬきを外すと、勢いよく開いたドアがカリアラの顔を撃った。 「うわ、大丈夫か!」 サフィギシルは転がった彼を見て申し訳なさそうにするが、隣に座るシラとピィスに気づいて顔をしかめた。シラは気まずそうに微笑み、ピィスはうつむいている。 「立ち聞きしてたのかよ」 「だって心配だったんだもの。それに、座り聞きですよ」 「そうだな、座ってるな。ピィス、もう大丈夫か?」 カリアラは座り直しながら言う。上げられたピィスの顔を見て、サフィギシルがぎょっとした。 「なんで泣いてんだよ」 「だってー。だってさあー……」 ピィスは赤く腫らした目から、またもや大きな涙をこぼす。シラが頭をなでてやると、しゃくり上げながら顔をぬぐった。サフィギシルとジーナが仲直りをしたあたりから、彼女はずっとこの調子だ。カリアラは困り果てて説明した。 「さっきからずっとなんだ。でもな、痛くはないって言ってるんだ」 「もらい泣きしちゃったのよねー」 静かに泣く彼女を見て、サフィギシルは気恥ずかしそうに呟く。 「……お前が泣いてどうすんだよ」 「いいだろー。オレの勝手だろー。もー」 ピィスもまた恥ずかしそうに、涙を拭いて笑ってみせた。場の空気が優しくゆるむ。カリアラは肩の荷が下りた気がして、ほっと安堵の息をついた。サフィギシルとジーナも仲良くなれた。これでもう心配するべきことはない。目をやると、即席のかんぬきは役目を終えてドアにぶら下がっていた。大変だった取り付け作業を思い起こしてしんみりとする。居間に音が届かないよう慎重に釘を打った。中のジーナに勘付かれてはおしまいだ、と考えるだけで緊張した。ただでさえ、嘘をつき続けるのはカリアラには重荷なのだ。これはいいことだ、これはいいことだ、と呪文のように自分に言い聞かせていた。たくさんの嘘をついてとても疲れてしまったけれど、こうしてみんなが笑っているから全部いい嘘だったのだろう。カリアラは笑顔でサフィギシルを見上げた。サフィギシルもまたつられるように笑みを浮かべる。 そして力いっぱいカリアラの頭を叩いた。 カリアラはあまりの痛みに驚いて、きょときょととあたりを見回す。 「なんだ、なんで叩くんだ!?」 「人を金づちで殴るな!!」 サフィギシルは本気の怒りを顔に浮かべ、またもやカリアラの頭を叩いた。もう一度、さらに一度。カリアラはそのたびに頭を上下させながら、混乱のままに言う。 「金づちで殴るのがそんなに悪いことなのか!?」 「当たり前だー!!」 真剣な怒声の影で、シラとピィスも静かにうなずいていた。カリアラはそれを見てどうしていいか解らなくなる。そんな、いいことだと思っていたのに。何がいけなかったんだ。痛いのがだめだったのか。でも必要なら痛みも我慢するのが当たり前だし、すぐに直してもらえるから大事には至らないのに……激流のごとくにあびせられる説教に、もみくちゃにされながら悩む。そうしていると出てきたジーナがさらに加わり、怒声は二重奏になった。 「そうだ、人間の倫理として金づちは駄目だ! 他の方法を考えろこのバカ魚!」 「そもそも仲直りさせるにも別のやり方があるはずだろ! お前の作戦は短絡的すぎるんだよ!」 「なんだ!? りんりってなんだ!? たんらくってなんだ!?」 「よーしたっぷりと教えてやる。来い!」 困惑によろめく体はジーナの手に奪われて、カリアラは作業室へと引きずり込まれる。 「いいかピラニア! 今度こそ人間の常識というものを体に教え込んでやる!」 「理解するまで止めないからな。今日ばかりはきっちり頭に叩きこむぞ!」 両耳を壊さんばかりに激しい叱咤、同じように響く怒声。そっくりな二人の講義は食事をはさんで夜まで続いた。打ち合わせたわけでもないのにぴったりと重なる呼吸で、人間の常識をここぞとばかりに魚の頭に叩き込んだ。 ※ ※ ※ 作業室での説教はまだ終わらないのだろうか。シラは時間を気にするように窓の外を窺った。だが見える景色は小さなもので、夜だということしか解らない。ため息をつきながら、隣に座るピィスの小さな頭をなでた。居間の中はとても静かで、ふたりきりで過ごすにはほんの少しぎこちない。時おりサフィギシルやジーナの声がこちらまで響いてくるが、何を言っているのかまでは解らなかった。 「……いいなあ、お母さん」 廊下を見つめてピィスが呟く。シラは視線を添わせるように、作業室へと目をやった。 「羨ましい?」 「うん。ちょっとね」 気まずそうな照れ笑いを見ていると、小柄な彼女を抱きしめたくなってしまう。敵意のない相手とはいえ、人間に対してこんな風に感じるなんて。シラは驚きと、それでも確かな喜びを胸に感じて微笑んだ。 いつからか、ピィスと共に過ごす時間が少しずつ増えてきた。一緒に酒を呑むようになったからだろうか。かわいい小物の類を求めて、二人で街を歩き回ったからだろうか。なかば無理やり連れて行かれたようなものだが、それでもとても楽しかった。初めはどんな態度をとろうか戸惑っていたはずなのに、いつの間にか丁寧な口調は薄れ、作り笑いもどこかに忘れて心から笑っていた。 「シラもさー……ううん、いいや。なんでもない」 微笑みを見ていたピィスが何事か言いかけて、取り下げた。彼女はごまかすような笑みを浮かべる。 「何? 気になるじゃない」 「たいしたことじゃないよ。それより、シラとサフィもカリアラの口を借りて言うと『仲良くなった』し、サフィとジーナさんとも仲良くなったし。方法はアレだけど、カリアラの理屈も結構あてになるのかもな。『ふたりきりで閉じ込めればいいんだ』ってやつ」 「……それなんだけど。考えてみると、ちょっと……何というか……」 シラはつい先ほど気づいた心当たりに、複雑な顔をした。 「何? 文句があるとか?」 「そうじゃないんですけど。……魚はね、繁殖する時には相手を物陰に連れ込んで、ふたりきりになるのよ。そうしたら『仲良くなって』卵が生まれるでしょう? だから……もしかしなくても、それが元になってるんじゃないかなって……」 歯切れの悪い推測に、ピィスは目を丸くした。 「じゃあ、カリアラとしては子ども作って仲良くなれよー、とかいう考えで?」 「多分。卵が生まれて子どもが増えたらあのひとは大喜びだし」 うなだれて答えると、ピィスは「間違いじゃないけどさあ、けどさあ」と口の中で繰り返した。困惑をもてあますように、しきりに指を動かしている。だが一通りの仕草を終えると、諦めたように言った。 「まさかあいつに性教育を学ばされるとは思ってもいませんでした。じゃあ暴露ついでに、こっちもさっき言いかけたこと教えるよ。シラさあ、最近人見知りがなくなって、態度がくだけてきたよね。丁寧語も少なくなったし、ずっとにこにこ笑いっぱなしじゃなくなったし。なんかね、そういうのが、すごく嬉しい」 気づかれていたことにどきりとする。考えを読まれていたような気がして、シラは少し緊張した。だがピィスは申し訳なさそうな顔をして、上目づかいに頼み込む。 「だから、ちょっとでもいいからジーナさんともそういう風にして欲しいなって思ったんだ。二人がピリピリしてると、カリアラがつらそうだから」 「でも……」 「大丈夫、できるよ。オレに対して警戒解くようになったきっかけも、サフィに向かって思いっきり怒鳴ったからだろ? 今日のだってあの時と同じで、たてまえとか全部捨ててたみたいだし。ジーナさんにもそういうところを見られちゃったんだから、シラはもう大丈夫だよ」 そうなのだろうか、と思う。たしかにあの時は、微笑みも何も忘れて心の底から怒鳴ってしまった。もし、これがきっかけで、ジーナに歩み寄れるのなら……。 考え始めたちょうどその時、廊下からジーナの声がした。 「ピィス、帰るぞ。送ってやるから一緒に行こう」 「はーい。シラ、見送って」 ジーナと会わせようとする気遣いがこそばゆい。シラはきつく口を結んで、廊下に出ていくピィスに続いた。微笑まない、嫌味を言わない、少しでいいから仲良くする。胸の奥で繰り返しつつ、気合を入れて現れたジーナを見つめる。微笑まない。嘘のない普段の顔で。 ジーナは戸惑いの目でシラを見て、何を言おうか悩むように声をかける。 「……怒鳴られるとは思わなかったな。そういう性格だったのか」 「悪いですか」 無遠慮に見下されてついつい低い声で言うと、ジーナはにやりと笑みを浮かべた。 「いや、面白い。意外性があっていいじゃないか。これから楽しくなりそうだ」 何か裏を含むような、すべてを見透かすような笑い。その表情に彼の影を見つけて呟く。 「……ビジス・ガートンみたい」 「ありがとう。最高の誉め言葉だ」 ジーナは不機嫌なシラに向けて笑みをこぼした。引きつった顔をするピィスの背を叩いて進む。 「帰るぞ。お前が鍵を取ってたそうだな。まったく、ペシフにもこのぐらいの悪知恵があればなあ」 ジーナは彼女など最初からいなかったとでも言うように、早足に歩いていく。ピィスは後に続きながら、気にするようにちらちらとシラをかえりみた。シラはどうするべきか解らなくて冷たい廊下に立ちつくす。 ジーナは玄関のドアに手をかけて、何気なく口を開いた。 「シラ」 振り向いて、戸惑う人魚に人の悪い笑みを投げる。 「ぜひまた見せてもらいたいな。髪を振り乱してどこまでも追いかけてきそうな凄い顔!」 シラはみるみると顔を赤くした。反論しようと口を開くが、それより早くジーナは無邪気に笑いながら庭の外へと躍り出る。素早く閉められたドアの向こうで、大人気ない大人の笑いが耳にうるさく響き渡った。腹を立てたシラの気持ちは取り残されたピィスに向かう。 「ピィスさん!」 「はいっ」 びくりとして身を引く彼女に、シラは全身全霊をかけて言いきった。 「絶対無理っ!!」 庭からは無遠慮なジーナの笑い声が聞こえる。ピィスは怒りあらわなシラに、苦笑して手を振った。 |
※ ※ ※ きりきりきり。きりきりきり。頭の奥でねじを巻くような音がする。 きりきりきり。きりきりきり。カリアラは前に進めているのかすら定かではない状態で、ふらふらと廊下を歩んだ。視界がぼやけていつも以上に見えづらい。だが前方にシラの気配を感じて、必死にそこまで漕ぎついた。たたずむ彼女にしがみつくと、驚いて声を上げられる。カリアラは相手の反応などおかまいなしに、シラの体にすり寄った。 「ど、どうしたの。大丈夫?」 「だめだー。おれはもうだめなんだー。つかれててうごけないんだー」 口に力が入らなくて、ふにゃふにゃとした声になる。それでも死にもの狂いで訴えた。 「助けてくれー。おれはいまは戦えないんだー。敵がきたらあぶないんだー。いまだけは助けてくれー」 「はいはい。何か来たら私が倒してあげるから。安心して休んでいいわよ」 「ありがとうー」 カリアラはそれだけ言って廊下にべたりと倒れ込む。シラが文句を言うのが聞こえる。だが頭と体が切り離されてしまったようで、ろくに動くことができない。サフィギシルの声がして、シラと何か話し始めて、その後で二人の手に支えられてどこかへと運ばれた。体が震動するたびに、頭の奥がきりきりと歪んで視界をくらりと揺るがせる。それでもなんとか足を使い、引きずられるように廊下を進んで居間のソファへと投げられた。 「もう! 優しくしてあげてください」 「しょうがないだろ、なんか妙に重いんだよ。お前、こんなに重かったか?」 答えようと口を開くがうわ言しか出てこない。その上答えも解らない。カリアラは目を閉じてソファに沈んだ。きりきりきり。きりきりきり。透明なガラスの中を黒い枝が伸びていく。きりきりきり。きりきりきり。大量に詰め込まれた人の知識が刻まれていく。カリアラは自分でも気付かないうちにそれらの中身を口にしていた。 「ひとをかなづちでなぐってはいけません……いたいことはしちゃだめです……あいてがいやがることはしてはいけません……とくにみんかんじんはうったえられるおそれがあるのであぶないです……でもけんかはやってもいいです……どこまでけんかでどこかららんぼうになるのかは……」 「何を教え込んだんですか」 「復唱している通りのことを。おい、お前本当に大丈夫か?」 軽く頬を叩かれても返答が浮かばない。カリアラはただ頭に任せて口を動かす。 「だされたくすりはぜんぶのまなきゃいけません……まずくてものこしちゃいけません……」 「そうだな」 呆れたような言葉の後に物音が続いたかと思うと、口に水が入り込んだ。どろりとしたぬるい液体。舌も肌も痺れさせる濃水の強化版。カリアラは目の前が白くまたたいて、思わず全身飛び跳ねた。 「押さえて!」 「は、はいっ」 ためらうような声と同時に強く手足を押さえられる。カリアラは暴れるにも暴れられず、逃れるにも逃れられず、口の中に押し込まれる瓶のふちと、味さえ感じられないほどの痺れ水を受け入れた。 耳の奥で水の流れる音がする。川だ。流れる水が体の中を通り抜ける。懐かしいそれはきりきりと鳴る頭の音を飲み込んで、掻き消して、目に映るものも何もかも水の底へと深く沈めて……。 「これでよし。おい、楽になったか」 「カリアラさん。カリアラさん」 強く体を揺すられて、意識は陸の上に戻った。カリアラはきょとんとしてサフィギシルとシラを見る。二人とも心配そうにこちらを覗きこんでいた。カリアラは目を瞬かせる。今、やっと目が覚めたような気がする。視界がかなりはっきりしている。だが相変わらず体は重く、力の抜けた声で言った。 「つかれた……」 心からの発言に、二人は顔を見合わせて笑う。カリアラは体を起こそうとして、弱々しく倒れ込んだ。 「馬鹿、濃水飲んだだけじゃ直らないんだ。今日はもうゆっくり休め」 「部屋までは運べないから、今日はここで寝ましょうか。大丈夫、傍にいるわよ。一緒に寝ましょうね」 「じゃあ、毛布取ってくる」 サフィギシルはそう言って早足に部屋を出た。去り行くその背を眺めていると、シラの腕が巻きついてくる。そのまま優しく抱きしめられて、カリアラは肺を空にするような長い長い息をついた。くすくすとシラが笑う。ただそれだけのことで心が安らぐ。カリアラはまた深いため息をついた。 「嘘つくのって、疲れるな……」 実感のこもりすぎる感想に、シラはさらに楽しく笑う。カリアラは何気なく呟いた。 「でもな、つかなきゃいけない嘘もあるんだ。ピィスが言ってた。なにか秘密があって、それを隠すためには嘘をつかなきゃいけないって。ピィスも秘密があるって言ってた。でもおれは秘密はないんだ。シラはなにか秘密あるか?」 シラの笑みがふつりと絶えた。空気が、急に静かになった。 カリアラは戸惑うように彼女を見上げる。だがシラは彼を思いきり抱きしめて笑った。 「ありませんよ。あなたに隠すことなんてないもの」 「そうか」 疑いもなく彼女の言葉を受けとめる。 疲れのために、その腕がわずかにこわばっていることには気づかなかった。 そうしていると、サフィギシルが毛布と枕を持ってくる。動けないカリアラの代わりにシラが寝床を作ってくれた。カリアラはソファの上、シラはそのすぐ下に。相も変わらずぴったりと密着していると、サフィギシルが、どこに行こうか迷うようにこちらを見ているのに気づいた。笑いながらシラが訊く。 「一緒に寝る?」 「いっ、いいよ! 何考えてんだよ」 サフィギシルは気まずそうに一歩引いた。カリアラは不思議に思って首をかしげる。どうして嫌なんだろう。寂しそうな、仲間に入れて欲しそうな目をしていたのに。きょとんとして見つめると、サフィギシルは何か言いたそうな顔をした。 「なんだ?」 「いや、今日はいろいろ……そりゃ殴られたりしたけどさ。結果的には、なんか、良かったというかなんというか……お前には助けられたし。ええと……だから、今までのことも含めてさ」 口の中でどもるために喋る言葉は聞き取りにくい。真剣に耳を澄ますと、サフィギシルはますます喋りにくそうに、居心地悪く視線を逸らした。それで、と、だから、を幾度となく繰り返す。思いきって口を開き、しぼむようにまた閉じる。そんなことを続けた後で、結局は目を逸らして言い捨てた。 「……何か、して欲しいことがあったら言えよ」 不甲斐なさを憎む顔。サフィギシルはそのまま出て行こうとする。 だが、くい、と足を引かれて立ち止まった。 「じゃあ、ここにいてくれ」 カリアラは服の裾を掴んで言う。 「おれ、今は動けないんだ。敵が来ても戦えないんだ。だからここにいて、何かあったら助けてくれ」 サフィギシルは言葉を詰まらせて、顔と手を交互に見つめ、やけにうわずる声で答えた。 「しょ、しょうがねーなー」 「声、裏返ってますよ」 シラに言われて顔を赤くしながらも、足を戻してソファの近くの床に座る。微妙な距離を詰めるために、シラが手招きをした。サフィギシルは緊張した面持ちで少しずつこちらに近づく。たっぷりとした時間をかけてすぐそばにたどり着くと、シラに肩を抱き寄せられた。片方にはカリアラ、もう片方にはサフィギシル。三人はシラを中心にして固まった。サフィギシルは恥ずかしそうに、ずっと彼方を見つめている。シラは楽しそうに笑い、カリアラもまた嬉しくて自然と顔が笑みをつくる。シラが、いつまでも恥ずかしがるサフィギシルをわざとらしくからかった。 「お母さんには言えたのにねー」 「……うるさい」 何のことかは知らないが、サフィギシルが悔しそうなことは解る。だがそれでもどこか嬉しそうなので、心配はいらないのだろう。カリアラは大きな大きな息をつき、疲れた体をシラに預けた。 きりきりと収縮していた頭の奥が、ゆるやかにほどけていく。苦しめられた痛みが和らぎ、体が楽になっていく。力が抜けていくのにあわせて意識もうつろに薄れていった。知らずと口が笑みにゆるむ。みんながすぐそばにいる。体温がじかに伝わる。しあわせで、何もかもとけてぼやけてしまいそうだ。 カリアラは暖かさにとろけながら、ゆっくりと眠りについた。もう、怖い夢は見なかった。 |