後書き。

 ネタ発案から約四年、執筆期間一年弱。ようやくこれを書ききることができました。
 サイトを開設する前から「いつか書こう」「そのうち書こう」と伸ばし伸ばしにすること二年。暖めすぎて本気で腐ってしまうのではないかと心配していたのですが、なんとか新鮮な気持ちで書き続けることができました。
 そして同時に、実際に言葉にしてみると、長年積み重ねてきた妄想なんぞはあっという間に意味をなくしてしまうのだと痛感した連載でした。

 私は今までいくつもの長編物語を妄想だけで終わらせて、闇に葬ってきました。
 この小説はちゃんとした形で完結した初めての物語です(長年ネタを練り続けた話の中では)

 書いて良かったと思います。本当にそう思います。

 書く前は恐怖心がありました。妄想は美しいものです。書かなければそれは最高の小説であり、漫画であり、映像であることができます。ただぼんやりと頭の中で動かしているだけの生活は気楽で楽しいものでした。

 しかし書き始めればそういうわけにもいきません。実際に書く段階に入った場面から次々に現実となってしまい、未熟な自分の力量を悲しすぎるまでに目の当たりにするはめになります。なりました、ええなりました。「書く」ということは最高に楽しくて面白い妄想が自分の手で壊されていくということだと思います。

 それでも私はこの小説を書いて良かったなあと心の底から思います。
 とてもとても楽しかったです。悩みと苦労の何倍も幸せな一年間でした。そして書きあがった今の達成感もまた言いようのないほどの喜びです。
 何かを形にするというのは、本当に面白くて楽しくて幸せなことなのだなあと思います。

 もっとたくさん小説を書きたいです。
 いろんなものを読んで、見て、調べて、学んで、もっともっとたくさん書こうと思います。
 「人喰い魚が人になる」も続編の予定があります。
 まだしばらくは構成の整理などがありますが、いつか必ず書きたいと思います。よろしければ、その時はぜひまた読んでやってくださいませ。

 感想を下さった方々、日記などで言及して下さった方々、さまざまな指摘をして下さった方々、本当にありがとうございます。あなたたちの言葉がなければここまで辿り着くことはできませんでした。もちろん接触がなかった方々も、読んで下さっただけで本当にありがたく思います。

 とても長い小説になってしまいましたが、少しでも「読んで良かったなあ」と感じていただければ光栄です。そうでない方はすみません。次は今よりももっと良いものを目指して頑張ります。

 本当に、ご読了ありがとうございました!

 2003年3月28日 古戸マチコ


「人喰い魚が人になる」第一部
 開始:2002/02/08
 終了:2003/03/26
 総数:1220枚(400字詰め原稿用紙換算)

 改稿:2005/07/01
 総数:1198枚(400字詰め原稿用紙換算)